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東京高等裁判所 昭和56年(ネ)1512号 判決 1981年8月04日

控訴人 儒教陰陽道総師府晁衝宗家 勅許家元正四位国教総裁 菊坡安倍司家公許、祭祀法人皇治教神祇道孔孟教団大司庁、正四位神祇祷祀官医学博士晁司家木舟晴善 宗教法人 福助屋洋品店

右代表者主管者 名倉清一

<ほか一名>

被控訴人 天野隆

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

本件控訴状の記載によれば、控訴の趣旨は、「原判決を取り消す。本件を静岡地方裁判所浜松支部に差し戻す。」との判決を求めるというにある。

控訴人の本訴請求の趣旨及び原因は原判決添付別紙記載のとおりであるから、これを引用する。

予告登記は、登記原因の無効又は取消しによる登記の抹消又は回復の訴が提起された場合に、そのような訴えが提起されたことを公示し、係争不動産について取引関係に立つ可能性のある第三者が訴訟の結果、不測の損害を受けるのを防止するため、裁判所の職権によってなされる登記である。それは、一般第三者に対して事実上警告を与えることを目的とするものであって、直接特定の者の利害に関係するものではない。そして、右予告登記の抹消登記は、右訴訟が終局した場合に、その終局事由のいかんにより、裁判所の嘱託によって、又は登記原因の無効、取消しによる抹消登記又は回復登記の際に登記官の職権によってなされる(不動産登記法一四五条)べきものである。

したがって、被控訴人に対し予告登記の抹消登記手続を求める控訴人の本件訴えは訴えの利益を欠く不適法なものであり、その欠缺は補正することができないことが明らかであって、右訴えを却下した原判決は相当であるから、民事訴訟法二〇二条により口頭弁論を経ないで本件控訴を棄却することとし、控訴費用の負担につき同法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 園田治 裁判官 菊地信男 柴田保幸)

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